難易度は102回よりも難、103回よりもやや易といったところでしょうか。
第97回国家試験から新国家試験となり、はや8年経過しました。出題傾向は毎年多くの変化が見られるものの、求められている力が持っている知識をいかに駆使できるかという点は変わっていません。しかし、ここ数年その力を試す問題が増えてきたため、大手予備校も対応するのが年々厳しくなってきているのではないでしょうか。
国家試験を受験される皆さんには、是非この能力を十分に身に着けたうえで臨んでいただきたいと思います。
まず、必須問題です。
例年よりもやや優しい問題が多く目につきました。具体的に言うと80点以上は得点しておきたい難易度でした。今回の国家試験においてこの必須問題を何点得点できているかが合否に関わる受験生が多くいたのではないでしょうか。
この必須問題は基礎事項をいかに理解できているかが問われています。より多くの必須問題を回答できる知識量が、理論・実践問題への対処能力にも大きく関わるので早い段階で知識を整理しておきましょう。
次に理論問題です。
今回の物理・化学・生物は例年よりも難化していました。特に、多くの受験生を悩ませたのは問137~140の複合問題ではないでしょうか。皆さんご存知の通り、ここ最近の国家試験は基礎事項をしっかり理解した上で考えなければならない問題が出題されています。
今回の複合問題も基礎事項を駆使し、問題をよく読めば回答できる問題となっていました。
105回の国家試験を受験される皆さんはこのような問題に対処できるよう、問題演習を十分に積んでいただきたい。
薬理・薬剤・病態・法規は全般的には例年通りといったところでしょう。しかし、薬理・病態の2連続問題が3組出題されているのが例年と異なるところでしょう。問題文の症状・検査値をしっかり判断できる力をつけているかどうかが鍵となると考えられます。
最後に実践問題です。
他の予備校でも評されていますが、他科目の知識を必要とされる問題、グラフから測定値を読み取る問題が出題されています。ここで求められているのは先述したような知識をいかに駆使するかということ。そして他の科目と関連する複合的知識を有しているかということです。
まだ十分に学習できていない学生の方は、各科目が独立した知識のように感じることが多いと思います。しかし、他科目の知識があれば、回答できる問題、理解が深まる知識が多く存在します。学習を重ねていくうえで同じ内容を何度も目に通すことがあると思いますが、その際にはぜひ他の科目との関連性にも着目していただきたい。
また、「~の結果、…ということになった。~~適切な対処はどれか?」、「~~となった。他の職種に提供すべき情報はどれか?」といった実務に即した問題も他数出題された。加えて、ガイドラインベースとなった問題も出題されている。このような問題では通常の学習に加えて実務実習で得た知識・経験が重要となってきます。既に実習を終えた5年生以上の方は今一度実務実習の内容を復習することを、また今後実習を控えた4年生の方は意欲的な気持ちで実務実習に臨むことをお勧めします。
以上を総括すると、例年通り必須問題は80点以上取ることを目標としましょう。
理論問題については、暗記事項はもちろん、そこで得た知識をいかに駆使するかという考える力を身に着けるため問題演習を十分に積んでおきたいところです。
実践問題は、前述の考える力に加え、他の科目との関連を意識した学習をしていただきたい。また、実務実習の内容も復習(未修者は意欲的に取り組む)しておくことが重要となってきます。6年次での勉強においては、青本や要点集だけでなく、添付文書やガイドライン等を早い段階からきちんと読み込みましょう。
そしてどんな問題であれ、”薬”が問題の中心であり、薬理ほど重要な科目はありません。少しでも多くの薬を知り、その扱い方を学び、臨床上の役割をおさえてください。