作成者: 代表
大阪医科薬科大学の卒試の再試個別対策実施中~072-668-6905~
大阪医科薬科大学の卒試本試の結果が出ました。アイファ大阪の生徒さんたちは全員合格されていて、国試の学習に切りかえています。
現在、再試対策希望の方々のお問合せが増えています。大阪医科薬科の場合は、当予備校の講師の数の都合上、受け入れは若干名とします。
卒業試験の再試が来年の1月8日にあります。集中的に対策しましょう。
ご希望の方はお電話にて。
名城大学の卒試再試の集中個別対策を実施中(名古屋校)~052-220-5446~
名城大学の卒試再試の集中個別対策を実施しています。
難易度が非常に高いため、苦労している方々が多いです。このレヴェルの卒試に合格出来るなら、国試は合格出来ます。
残された時間から、最小で最大の効果が出る学習を目指しています。
この冬休みの間に、年末、お正月も関係なく、個別対策しています。
お問合せはお電話にて。
後期募集のご案内(2024年度)
後期募集(2024年度)を開始します。
※再試対策、9月からの対策です。
※ご希望の方は、体験授業のお申込みからスタートになります。以下の校舎で体験を受付ています(オンラインの受講も可能です)。
(体験可能な校舎一覧)
〇名古屋校
〇西岐阜校
〇大阪摂津富田校
定員になり次第締め切ります。
大阪医科薬科大学の卒業試験について
(1)大阪医科薬科大学の卒業試験とは?
・大薬の卒業試験は難しいです。今までの定期試験を難なくクリアしてきた人たちでも卒業試験では落ちる可能性が高いです。
実際に、今回の本試験では311人のうち、約半数の計150人のみが合格して、再試兼を得て、無事合格したのは、計237人で、合格率は約75%となりました。4人に1人は卒業出来ないという事実があります。
卒業試験は、大学が独自に実施している試験です。この試験に合格出来なけれb、卒業出来ません。
また薬剤師国家試験の受験資格も得られないため、薬学部6年生にとっては、国家試験前に受ける試験の中で、最も大切な試験と言っても過言ではありません。
(2)定期試験との違い
・定期試験との違いは、範囲の広さです。定期試験は前期、後期に分かれており、半期分が試験範囲になりますが、卒業試験の場合は、国家試験の範囲とほぼ同じです。これまでの6年間で学んできたことの集大成となる試験です。確実に合格するには、しっかりとした対策を行う必要があります。
(3)卒業試験問題の難易度と傾向
・難易度は、国試とほぼ同じくらいです。ただし、卒業試験は時期が国家試験の日程よりも二か月程前
前に実施されるため、試験範囲全てを網羅出来ていない学生が多く、本試験で合格出来ない学生が過半数います・
また傾向としては、どの科目が易しい、難しいなどはなく、全て国家試験レヴェルです。どの科目も満遍なく学習する必要があります。卒業試験の過去問や国家試験の過去問、大手予備校から出ている過去問参考書などから同じ問題が出題されることもありますが、しっかりとした理解がなければ問題を解くことは難しいと思います。
續く
~国試合格の声続々と~
さて、先日、国試の合格発表があり、アイファでも多くの方々が合格されました。
当日にブログにアップすればよかったのですが、前期の体験授業でばたばたしていて遅くなりました。
国試の現役個別コースの方々は、長い間アイファに在籍された方々多く、合格されて嬉しのと同時に、少し寂しくも感じます((´∀`)) 長い方ですと、1年の入学の時から在籍されている方々もいます。皆さん無事ストレートで進級→合格となりました。
国試の既卒個別コースの方々は、既卒歴が長い方々多く、少し心配しましたが、今年は例年よりもいい成果を出してくれました。
いずれにしても、合格された皆さん、現場で活躍する薬剤師になるのを期待していますね!
第109回国家試験 総評〜暗記に頼った対策では苦戦か?〜
遅くなりましたが、今回の国試の総評です。
完全相対評価に移行してから4年目の109回国家試験の難易度については、前回とは異なり、全体的には中等度でした。108回国家試験の難易度から比べると難化と言われるかもしれませんが、過去4~5年の推移で見ると、108回が例外で109回は例年通りの難易度となっています。
過去4年間の合格ボーダーラインの推移は、108回[平均254点(345点満点、他社の自己採点システム調べ)、合格点235点]、107回[平均236.6点(345点満点、他社の自己採点システム調べ)、合格点217点]、106回[平均234.6点(344点満点、他社の自己採点システム調べ)、合格点215点]105回[平均233.4点(他社の自己採点システム調べ)、合格点213点]108回は平均点が254問と大幅に上がり、合格点が235点と、国家試験始まって以来初めて合格点が225点を超えた試験でした。それに比べて109回は、107~105回の推移に近い形になりました。
また、近年の傾向と同様に、科目の枠にとらわれない複数の科目の知識を複合的に使う問題(=融合問題)が数多く出題されました。また、グラフを読み取る問題や計算を要する問題が多く出題されていたため、暗記に頼った勉強では対応できず、苦戦した学生も多かったように思います。一方で、科目の枠にとらわれずに多角的な視点で学習した生徒にとっては、余裕をもって合格できた試験でもありました。
■必須
全体的な難易度は例年よりやや難でした。科目別では、物理、生物に関しては前回よりも少し易しくなりました。衛生、薬理、法規、実務の難易度は少し上昇しました。リード文から問われていることをしっかり把握して解く必要があり、周辺知識からも出題があったため、単純に暗記していた受験生は必須の足切りに苦しんだ人も多かったようです。
物理は、解答に時間がかかるpHの計算問題も出題されました。化学は基礎事項、無機化学、有機反応及び生薬と、満遍なく出題されました。特に、反応機構を把握した上で、その情報を反応エネルギー図と対応させる問題や生薬成分の薬理作用から副作用につなげる問題が新しく出題され、得点が思うように取れなかった受験生が多かったようです。生物は、比較的解きやすい問題が多く、基礎知識がある受験生は得点につながったようです。また、コアカリ(R4)を意識する問題の出題が継続してみられ、「解剖・生理学」がより重要視されています。衛生は、グラフの問題として食事摂取基準における指標、公害苦情件数の推移が出題されました。薬理は、例年通りの平易な内容となっており、得点できた受験生が多く見られました。薬物治療は、適応や治療薬の選択に関する問題も出題されており、薬理と薬物治療の知識を繋げてとか問題も多く出題されました。ナルコレプシーなどのマイナーな疾患の出題も見られたので、より広い知識が求められました。薬剤は、例年通りの平易な問題でした。図や構造を用いた問題が例年よりも多く見られました。法規は、やや難易度が高く、例年と出題方式が異なる問題も見られました。法律の名前だけでなく内容を問われる問題や昨年度に引き続き、条文や定義を穴抜きで問う問題が出題されました。実務は、難易度としては中等でした。MRSA感染症の治療プロセスを基にした内容や乳児に対する薬の使い方など新しい形式の問題も出題されました。
■理論
全体としての難易度は中等でした。しかし今回は連問や症例問題が増加し、臨床を意識した幅広い疾患からの出題でした。物理は、計算問題は4題出題されたが既出問題をベースとした問題もあり、難易度は中等でした。化学は全体として問われた内容が基本に忠実であったため、難易度は中等でした。コアカリ(R4)の「代表的疾患の治療薬とその作用機序【化学領域】」を意識させる、非ステロイド性抗炎症薬に関する問題があり、生薬は2題出題されました。生物は図や構造を用いた問題が多く出題されました。また例年通り読解問題が出題され、与えられた情報を正確に読み取る総合力が求められました。臨床の知識が求められる問題も出題されました。衛生は、グラフの問題は4問、構造式を用いた問題は2問、計算問題は1問出題されました。薬理は基本的な薬物の作用点を理解していれば、比較的解きやすい問題でした。病態との連間は4題ありましたが、薬理単間として解ける内容でした。薬物治療は、薬理との連問の出題が増加しました。症例や検査値から正答を導く問題もみられ、難易度が高い問題もありましたが、全体として既出問題の知識で正誤の判断ができるものが多かったです。薬剤は既出問題とその周辺知識を中心に出題されましたが、図や表のデータを読み取って考える必要があり、単に暗記しているだけでは解答ができない問題もみられました。法規は既出問題や周辺知識で解ける問題もありしたが、新傾向の出題が例年より多く、得点しにくい印象でした。法改正に関わる問題が出題され、倫理ではコミュニケーション技法を問う出題が多い印象でした。実務は多くが既出問題の知識を活用することで解答が可能ですが、一部で既出問題で出題されていない薬物の特徴についても出題がありました。新薬に関する問題も出題されており、臨床現場で注目されている医薬品の把握が重要だと言えます。
■ 実践問題全体としての難易度は「中等」でした。実践問題の傾向は例年の国家試験と同様に、実践的かつ複合的な知識を問う問題が多い印象を受けました。症例・処方・検査値など情報量の多いリード文が多く、それらの情報の中から必要な要素を的確に選び、適切な治療に繋げる能力が求められる問題が出題されました。しっかり読解して、必要な知識を考えて解く問題が多かったため、時間不足を感じた受験生も多かったと思います。107回で出題された実践問題での4連間は108回国試では出題されませんでしたが、109回国試では乳がんについての薬理、薬剤、実務の4連間が出題されました。物理は、コアカリ(R4)を意識した医療と繋げた問題も出題されました。化学は臨床を意識した問題が多く、単純な化学的知識だけではなく他科目の知識と併せた知識が必要な問で構成されていました。構造の問題は継続した出題が予想されます。生物も臨床につながる多角的な知識が求められ、臨床に関連する内容の学修が重要であると考えます。衛生は、構造式の問題は2題、計算問題は1題、他に経口補水液のマーク問題や塩素消毒が不十分な温泉でのレジオネラ属菌による汚染に関する問題、フレイルに関する問題も出題されました。薬理はほとんどの問題が単間として正答を導けるものでした。各症例に対して処方された薬物はいずれも主要薬物であり、既出問題から網羅的に主要薬物についての学修が進んでいれば正答できると考えられます。今までの医薬品の薬理作用を直接問う問題ではなく、症例・処方のリード文に対し、追加した薬物の作用機序を問う問題や処方薬とは異なる作用機序を問う問題など患者背景と医薬品についての知識を総合的にみる視点での出題が増加しており、難易度が高くなりました。薬物治療は、医薬品情報からの出題はありませんでした。症例と治療薬から該当する疾患を選択する問題、症例と検査値から正答を導く問題が出題されました。多職種連携における薬剤師の役割に関する出題もありました。薬剤は、物理薬剤は出題はありませんでした。グラフ、図、構造の問題が4題あり、これらを読み取り具体的な製剤の特徴を考える問題が出題されました。また、薬剤と薬理の4連間(乳がんの問題)が出題されました。DDS製剤を中心に、具体的な製剤を絡めた出題も多数ありました。法規は既出問題とその周辺知識の理解で対応できる問題が多く、難易度は108回より難化して中等でした。法規や制度を中心とした出題であり、倫理からの出題はありませんでした。傾向としては、例年と比較してリード文から情報を読み取り解答する問題や、OTC薬の出題が目立ちました。また、2025年を目途とした地域包括ケアシステムの構築が意識されている問題も出題されました。実務は例年に比べ、既出問題の知識を基にした出題が多かったですが、症例の流れや検査値の推移を読み取る必要があり、文章量が多いため解答に時間を要したと考えられます。問題形式としては、処方医への提案内容を考える問題が多く、検査値の基準や医薬品の代表的な副作用とその対策を把握した上で解答を導く必要がありました。
■まとめ
先述しましたが、昨年と比べると平均点が大きく下がる形となりました。しかし、第105〜107回と比較するとそこまで難化しているわけではなく、108回を除く例年通りの難易度となっていました。 また、実践的な問題や科目複合型の問題も多く、次年度は更に多角的な視点からの出題が予想されます。そのため、薬剤師国家試験で合格するには単なる暗記ではなく、しっかりと基礎知識を付けた状態で応用問題を解く、といった地道な努力の積み重ねを行うことが重要であると思われます。特に、薬学部2,3年次に身に着けた基礎知識は国試は勿論、将来薬剤師となって新たな知識をつけていく上で大いに役に立ちます。毎年のように新しい医薬品が開発され、頻繁に情報のアップデートが必要になっていく医療現場で一人前の薬剤師になるには、薬剤師になってからであっても常日頃からの勉強が重要です。それに加えて、近年リード文が長く読解力が必要な問題も増えてきています。よって、日々の教科書的学習をベースに、それらの知識をうまく繋ぎ合わせ、必要な情報を選択して解答を導き出すトレーニングが必要であると思われます。また、既出問題に関しても、その問題から一歩踏み込んだ形で出題される形式が増えてきています。過去問を演習をする際にはその周辺知識も含めて勉強できるとより試験本番で役に立つ知識になるでしょう。
また、病院や薬局の実習で実際に体験して、学んだ情報は定着しやすく実践問題等を解答する上での大きな武器となります。実際に、今回の試験では実務系だけではなくすべての科目で臨床に則した問題が増えた印象があり、臨床で役立つ薬剤師を輩出していきたい、という出題者側の想いが感じ取れるような試験でもありました。今後もそういった臨床での知識が役立つような問題は増えていくことでしょう。しかし、教科書的暗記の勉強法は基礎を作るために絶対不可欠なものなので、決して蔑ろにすることなく、それらの知識をベースとした更なる能力向上が必要であるということを忘れないで頂きたいと思います。図や表、構造式を使用した問題の出題も増えているため、教科書等に乗っている図などを活用して理解しておくとより良いでしょう。このようにやはり薬剤師国家試験の勉強を始めるにあたっての最優先事項は知識の定着です。早期の知識定着を図り様々なタイプの応用問題に挑戦することで臨機応変に解答を導き出す力を伸ばすことができると思います。
最後に、薬剤師国家試験に合格することはゴールではなく、あくまで一人前の医療人になるためのスタートラインであり、国試に合格するまでに行った努力の積み重ねは、必ず薬剤師になってからも役に立ちます。来年以降に受験する皆さんには、ぜひとも将来のビジョンを描きながら国試勉強に向けて頑張ってほしいと思っております。
2024年度・前期募集開始のご案内
〈3月1日開始〉
・プロ講師による完全個室個別指導。1人1人の弱点を中心に、基礎から講師が指導します。
・一回の授業は2時間~。講師が質問の受付のペースメーカーとしてだけでなく、個別に弱点箇所を中心に授業をします。
・授業内容はオーダーメード。集団ではありませんから、遠慮することなく、個室でご自身の弱点を完全対策することが出来ます。
・他の方に知られずに、ご自身のペースで通塾することが出来ます(プライバシー厳守)。
・入塾ご希望の方はお電話にて、お問合せ下さい(代表 名古屋校052-220-5446)
・入塾の前には、体験授業があります。入塾するには、体験授業を受けて頂く必要があります。
・次回の募集は、後期募集(9月~)になります。
・定員になり次第、締め切ります(残り人数は、残り少なくなるとホームページの新着情報に表示します。新着情報の欄をご覧下さい。)
神戸で2校が生徒受付スタート~兵庫医科大学、神戸学院大学、武庫川女子大学対象~
神戸で2校がスタートしました。
〇神戸港島校・・・兵庫県神戸市中央区港島中町6ー14,ポートピアプラザA棟、105号室
〇神戸武庫川女子大前校・・・兵庫県西宮市里中町2丁目3-7、Rose Cottage、103号室
定員はそれぞれ15名とします(前期&後期募集それぞれ)。
※各大学に特化した個別指導を行います。
※完全個室個別の指導です。
ご希望の方はどうぞ。
108回国家試験の講評~易化傾向の影響もあり、前回と比べると、平均点が大幅に上がり、国家試験が始まって 以来初めて、合格点が225点を超えた試験でした。完全相対評価に移行してから3年目の国試。平均点が上ろうと下がろうと、合格枠はほぼ最初から決まっていると思われます。。。丸暗記系&基礎力のない受験生には受難か!?~
完全相対評価に移行してから3年目の108回国家試験の難易度については、前回とは異なり、全体的には易化傾向でした。一方で、得点源になり得る問題と、捨てるべき問題がはっきりと分かれている良試験だったとも言えるでしょう。
易化傾向というのもあり、前回[平均236点(345点満点、他社の自己採点システム調べ)、合格点217点]、前々回[平均236点、合格点213点]と比べると、平均点が254問と大幅に上がり、合格点が235点と、国家試験始まって以来初めて合格点が225点を超えた試験でした。
また、近年の傾向と同様に、科目の枠にとらわれない複数の科目の知識を複合的に使う問題(=融合問題)が数多く出題されました。また、グラフを読み取る問題や計算を要する問題が多く出題されていたため、暗記に頼った勉強では対応できず、苦戦した学生も多かったように思います。一方で、科目の枠にとらわれずに多角的な視点で学習した生徒にとっては、余裕をもって合格できた試験でもありました。
■必須
全体的な難易度は例年通りでした。科目別では、物理、化学に関しては前回よりも難易度が上がりました。特に物理では、前年までの理論問題で頻出の「容量分析」(問4)や「相平衡」(問1)から出題されており、過去問の詰めが甘かった生徒が苦労するであろう問題が多く出題されておりました。化学でも、生薬の基原を問う問題(問8)や、多くの学生が苦手とするカルボニルの反応(問9)など、必須問題にしては難易度が高めの問題が多い印象でした。受験生の多くが最初に目を付ける問題というのもあり、思わぬ問題に出鼻をくじかれた受験生も少なくなかったでしょう。
病態に関しても、新出題のレボホリナート・ホリナート救援療法(問66)やデータ尺度についての問題(問70)が新傾向として目立ちました。薬剤、薬理、生物ではそれぞれ構造式から判断する問題が出題されました。物理、化学、病態以外の分野に関しては過去問の演習が出来ていれば答えられるような問題も多く、例年通りの対策で十分に対応が可能な難易度だったと考えます。また、東洋医学に関する知識を問う問題も2問あり、新傾向を感じさせるような必須問題でした。必須予想正答率は82%と、例年通りでした。
■理論 例年よりも難易度は低く、過去問からの出題が例年に比べると多かった印象を受けました。物理の難易度はやや難程度で、昨年に比べると易化傾向でした。化学の難易度はやや難~難であり、昨年と同様~やや難化傾向が見られました。一方で生物、衛生、法規、薬理の難易度がやや易であり、得点が稼ぎにくい理論問題の中での得点源になり得るような問題が多かった印象です。また薬剤では、例年4-5問ほど出題されていた計算問題が今回は1問と少なかった一方で、薬物動態学におけるADMEなどの基礎的な知識を問う問題や日本薬局方関連の問題が3問連続で出題されたりと、傾向の変化が見られました。病態に関しては、昨年よりも平易な問題が多かった印象です。全体としては、平易な問題や過去問通りの問題が多く、一方でグラフや図から考えさせるような手ごたえのある問題もあり、捨てるべき問題と得点源になる問題とで分かれていた印象を受けました。理論予想平均得点率は66%であり昨年の55%や例年の60%前後と比較すると大幅に易化したと思われます。
■実践 実践問題の傾向は昨年度国家試験と同様に、実践的かつ複合的な知識を問う問題が多い印象を受けました。ただ、実践問題にありがちな「1つの症例に関して問1の答えを用いて問2、3を解く問題」は少なかったため、問1を間違えてしまうとそのあとの問題も間違えてしまう状況に直面することはあまり無かったと思います。逆に言えば問1の解答を手掛かりに問2の問題を解くと言ったテクニックは、今回の試験では使えなかったように思います。特に、物理では理論問題のような難しい基礎の部分を聞いてくる問題が多い印象を受けました。またシダキュアといった新しい抗アレルギーの減感作療法(問217)や、ワクチンに関する問題(問303)も出題され、話題性を感じさせる問題が多く、国試勉強だけではなくきちんと最新の医療情報を身に着けているかが問われた問題もありました。いずれにしても相当量の知識を有している必要があり、日々の勉強や病院等での実習での経験を通して知識を習得し、それらの知識を問題に応用して使いこなすトレーニングが必要です。実務予想平均得点率は74%であり、昨年の65%と比較すると理論と同様に大きく易化しました。
■まとめ
先述しましたが、昨年や一昨年と比較すると易化しており、合格点は例年に比べて20点前後高い結果となりました。しかし、第97回と比較するとそこまで易化しているわけではなく、過去問と類似した問題が例年に比べて多かったのもあり、過去問の復習をしっかりこなしていた受験生にとって有利な試験だったと言えるでしょう。また、実践的な問題や科目複合型の問題も多く、次年度は更に多角的な視点からの出題が予想されます。そのため、薬剤師国家試験で合格するには単なる暗記ではなく、しっかりと基礎知識を付けた状態で応用問題を解く、といった地道な努力の積み重ねを行うことが重要であると思われます。特に、薬学部2,3年次に身に着けた基礎知識は国試は勿論、将来薬剤師となって新たな知識をつけていく上で大いに役に立ちます。毎年のように新しい医薬品が開発され、頻繁に情報のアップデートが必要になっていく医療現場で一人前の薬剤師になるには、薬剤師になってからであっても常日頃からの勉強が重要です。よって、日々の教科書的学習をベースに、それらの知識をうまく繋ぎ合わせ解答を導き出すトレーニングが必要であると思われます。
また、メラビアンの法則で視覚情報がコミュニケーションの55%を占めているといったように、病院や薬局の実習で実際に体験して、学んだ情報は定着しやすく実践問題等を解答する上での大きな武器となります。実際に、今回の試験では実務系だけではなくすべての科目で臨床に則した問題が増えた印象があり、臨床で役立つ薬剤師を輩出していきたい、という出題者側の想いが感じ取れるような試験でもありました。今後もそういった臨床での知識が役立つような問題は増えていくことでしょう。
しかし、教科書的暗記の勉強法は基礎を作るために絶対不可欠なものなので、決して蔑ろにすることなく、それらの知識をベースとした更なる能力向上が必要であるということを忘れないで頂きたいと思います。知識不足の状態で応用問題に挑戦しても正解を導くことができませんし、充実した病院薬局実習を行うことは出来ません。このようにやはり薬剤師国家試験の勉強を始めるにあたっての最優先事項は知識の定着です。早期の知識定着を図り様々なタイプの応用問題に挑戦することで臨機応変に解答を導き出す力を伸ばすことができると思います。
最後に、薬剤師国家試験に合格することはゴールではなく、あくまで一人前の医療人になるためのスタートラインであり、国試に合格するまでに行った努力の積み重ねは、必ず薬剤師になってからも役に立ちます。来年以降に受験する皆さんには、ぜひとも将来のビジョンを描きながら国試勉強に向けて頑張ってほしいと思っております。