上の質問はよく来るので、ご返答しておきます。
「高校の化学と大学の有機化学は、実はそこまで関連性はありません。ただし有機化学を学ぶ上での試薬の名前や酸性塩基性の強弱などは、高校化学から来ているので、高校化学が苦手だとつまずいてしまいます。
大学の全ての有機化学(合成化学を含む)は、有機化学Ⅰ~Ⅱで学んだ電子の濃度、酸性塩基性の強弱、立体障害等の基本的な性質だけで説明がつくので、いかに最初の有機を熱心に勉強するかにかかっています。後は反応する物質が変わるだけで、実際に起きている反応はほとんど同じです。最初で理解できていないと、必然的に後も分からないくなります。(連続ドラマの第1、2話をしっかり見ておけば、だいたいのパターンが分かり、展開が予想できるようになるのと同じです。)
合成化学など、後半の有機化学が苦手な人は、この初めの有機化学を疎かにしている傾向があり、ここをしっかりと勉強し直さないと、CBTで必ず苦戦します。
そして
CBTの合格順位は、実は多くの大学関係者が指摘することと同じですが、実は国試の合格まで、あまり変動しません。
つまりCBTまでに、どれだけ学力のてこ入れをしておいて、どれだけ上位でCBTをパスできるかが、その後卒試をパスできるか(=当然国試をパスできる)に繋がっていくのです。ということは、ほぼ1~4年で、その後どのような道筋を辿っていくのか、はたして卒試や国試はパスできるのかが決定されるということになります。
3年生くらいで、有機化学が分からなくなる方は、恐らく一番初期に学んだ基本的な有機化学の性質を理解していないために、全ての反応を個々に覚える羽目になり、またなぜそのような反応になるのかという理由も分からないため、ただ丸暗記となり、量が膨大で覚えきくなってしまう方が多い印象です。そのような方は、今のうちに有機化学の復習をしておくことを強くお勧めします。さもないと、CBT、卒業試験で落ちるパターンが濃厚です。
余談ですが、有機化学を学べば、薬の安定性や薬の液性などを考えることもできますが、実際に臨床では、そこまで頭が回っていないことも多いため、ほとんど全ての薬剤師が忘れてしまいます。特に化合物を合成する用の反応などは、臨床では使わないので、完全に忘れてしまう傾向にあります。そのため、現場で働いている薬剤師だからと言って、有機化学が全部できると言うわけではありません。新薬開発を行っている企業就職の薬剤師は別です。」
文責 アイファ名古屋、大阪、横浜校 教務課主任