2016年の1月の国試から部分的に相対評価が取り入れられ、いきなり65パーセント得点していれば合格という基準を外すと、現場が混乱するので、数年は65%合格という基準は据え置きます、という厚労省の言葉通り、
2019年1月の国試から、65%得点していれば合格という基準がなくなり、上位から合格させるという完全相対評価に移行しました。
以前は相対評価にすると、試験が簡単になるのでは?という声もありましたが、現実は、合格人数には枠があり、上位層から合格するわけですから、受験生がどこの大学だからというものはなくなり、純粋に自分の学力が試されるようになりました。
はっきり言って、相対評価は、上位層にとって有利で、下位層にとって不利な仕組みです。中位~階層層の大学には非常に厳しいシステムです。2014、2015年の国試では、上位層でも基礎系の足切りにひっかかり、せっかく内定が出ていたのに就職できずというようなことが相次ぎ、クレームが続出したようです。ですから、上位層には確実に合格してもらう代わりに、中~下位層には厳しく選抜させてもらう、ということなのでしょう。知識量を問うのではなく、基礎学力を応用できるかが問われるようになりました。もう丸暗記は意味がありません。
完全相対評価に移行したことにより、大学受験の偏差値を如実に反映した結果になっていくと思われます。絶対評価の時には、自己採点の時に、65%得点していれば合格という基準がなくなることにより、眠れる獅子を起こしてしまった可能性があります。そう、国公立の学生です。国公立の大学側は、薬剤師国試の結果などどうでもいいと思っています(国公立の学生は意識してきましたが、65%得点すれば自動的に合格するので、直前まで対策しないパターンが続いてきました)。国公立の大学は、学生に研究させ→製薬会社に就職して欲しいと思っているため、国試の学習は、大学側は放置しています。学生が6年の秋から冬に、詰込み式で行うのが一般的でした。
しかし、完全相対評価になることにより、これはまずい、と国公立の多くの受験生は考えるようになりました。早めに対策しておかないと、合格できない。。。65%得点してれば合格の時は、はっきり言って、国公立の生徒はなめていたのですが、さすがに、完全相対評価になり、問題がどんどん難化していくとすると、早めに学習をスタートしておかないと、合格できないことに、気づくようになりました。確かに、製薬会社の就職には、薬剤師国家資格は必要ありません(他学部の方には驚きですね!特に医学部&歯学部の方々には!)しかし製薬会社にはリストラもあり得ますし、女性の方なら産休になることもあるでしょう。この産休時に、もしバイトとして働くとした時さえ、女性にとって、薬剤師ほど、社会的に尊敬される仕事で、比較的楽で、高給を取れる職業を私は知りません(私の本音です)。女性なら、完全な勝ち組です。女性であれば、薬剤師免許を取っておくことで、安定した人生の指針が手に入ります。こんないいものを、国公立の、特に女子大学生が、見過ごすのでしょうか?しかも、国公立の学生は、製薬会社に就職した場合、薬剤師免許を所持していながら使わないわけなので、塩漬け状態になっているわけです。私が思うに、完全相対評価になり、一番恐ろしいのは、国公立の学生が本気になって、国試受験の対策をして、平均点を上げてしまうことです。薬学部の大学毎の偏差値は、トップは70、一番下は35。。。これが同じ土俵で戦い、選抜式となり、決まった枠を奪い合い、上から合格となるのですから、恐ろしいことになりました。中位から下位の新設大学には、受難の時代になりました。国試の難化=進級基準の難化だからです。
以前はほとんど落ちなかった1年でも留年数が今後さらに増え、CBT、卒試での落ちる生徒も増えてゆくでしょう。6年で卒試が落ちた方には、卒業はさせるが、その年の国試は受験しないという誓約書を書かせるならば、卒業はできるという仕組みを作っていくかもしれません。そうすれば生徒側が届け出た生徒数を少なく見せることができ、大学側が意図的に卒試で落としたことにはならなくなるからです。しかし学力がないまま、国試浪人になってしまうわけですから、さらなる悪循環にはまり、大手予備校に行ったところで、ずっと国試に合格できず、相対評価になってしまった以上、永遠に薬剤師になることができない可能性も出てきました。進級基準が緩い大学の生徒は、国試浪人が大量に出て、永遠に薬剤師になれないパターンになっていくでしょう。
やはり現役のうちから、しっかりと準備をすべきです。国試の勉強を開始するならば、最低CBTからスタートすべきです。CBTの対策=国試の基礎作りなので、CBTをぎりぎりで合格した方は、以後茨の道を歩むことになります。