今年度の薬剤師国家試験に関してです。
受験生の皆様、いかがでしたでしょうか。
難易度で言えば102回よりも、やや難といったところでしょうか。しかし、6年制に変化してから様々な試験問題が提起されてきましたが、今回の試験で求められている力ははっきりとしてきたのではないかと考えられます。
このブログを見てくださっている方々に、国家試験に臨む上で覚えておいて欲しいことを書いていきます。
まず、必須問題です。
例年通り、広く浅く、9割目指すつもりで勉強すれば、本番緊張しても十分に得点が可能です。この必須問題が十分に取れれば、合格にグッと近づきます。
そして理論問題です。今年の物化生は難化していました。しかし実際、難化と感じるのは物理でした。というのも化学は土台となる反応機構など基礎事項をきちんと理解していれば、大きく外れることはなく、例年通りの点数は取れるレベルであると考えられます。生物に関しては、問題文章が長く、実験やその原理を踏まえた上での考察問題が出ていました。このような考察問題を難しいと考えるかどうかは、これまでに思考力に準ずる訓練をこなしてきたかどうかで決まると考えられます。端的な知識問題よりも理解力と読解力があれば、むしろ点数は取りやすいのではないかと考えられます。
薬理、薬剤、薬物治療は例年通り。法規は若干、易化といったところでしょうか。
続いて、実践問題です。他の予備校では理論問題も含め、薬物治療が難化しているとの講評がされています。その理由は、青本や要点集に載っていないことが出たからではないかと思います。しかしそういった理由は、果たして妥当な理由なのでしょうか?5年次には病院、薬局実習があります。薬学実務実習は現段階での薬物治療や疾患に対する知識を学ぶ機会として、また、国家試験の実践問題対策として、非常に重要です。薬局において、「〜な相談を受けた薬剤師が勧めるべき薬は?」といった内容や、病院において、「〜な場合、どのような薬を勧めることができるか、どの薬物が原因であると考えられるか?」といった内容の問題が出されています。しかし、実は多くの人が真面目に実習を受けていれば、出会う内容であることが多く、かつ現代の医療・薬物治療で問題となっているテーマなどに敏感であれば、難なく分かる問題であると思います。
まとめますと、必須問題は例年通り、目指せ80点以上。理論問題に関して、暗記事項はもちろんだが、生化学等、考える力を鍛えること。実践問題は5年次薬学実務に真剣に臨み、現代の薬物治療と疾患・薬剤師としての対応の仕方・健康問題解決に向けて知っておくべき知識を身につけましょう。6年次での勉強においては、青本や要点集だけでなく、添付文書やガイドライン等を早い段階からきちんと読み込みましょう。
警告、禁忌、重篤な副作用に目を通す。抗がん剤やハイリスク薬等は用量・用法に目を通す。薬物相互作用の部分では、代謝酵素やその割合、代謝物の排泄経路や活性化となるのか不活性化なのか、半減期や分布のしやすさなど、私たちが学ぶべき知識はすべて添付文書にあります。
そしてどんな問題であれ、”薬”が問題の中心であり、薬理ほど重要な科目はありません。少しでも多くの薬を知り、その扱い方を学び、臨床上の役割をおさえてください。