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大阪薬科大学は元々留年の少ない、関西を代表する薬科大学である。近畿大学、京都薬科に次ぐ地位を占めていると言ってもいいだろう。

その大阪薬科大学で、今進級の地殻変動が起きている。しかも深刻だ。。。今後同一学年で留年を繰り返し、退学になる生徒も大量に出てくるだろう。

では、どう変わったのか見てみよう。

2014年からの新カリキュラム改定により、つまり現在の2年から、それまではその学年の科目は全て取らないと留年というパターンだったのが、5教科まで持ち越し可能になった。しかも本試で30点を得点しないとその教科の再試は受けれない&持ち越し科目の数が、6教科になると、自動的に留年になるなどである。

つまり、今の2年からカリキュラム&進級の難易度が、がらりと変わってしまった。ここまでシステムが厳しくなったのは、国試の結果がいまいちよくないのが、原因だろう。大阪薬科の現役の国試合格率が、約6~7割、京都薬科で7割程度。システムの変更があまりに激しいので、現役の新カリキュラムの生徒&親御さんたちも、頭で分かっていても、体でよく分かっていない感じだ。今の1、2年生は正直かわいそうである。。。

指定校推薦などの公募推薦で入った方は、今年は30名ほどいる。入学したら、まさかこんなに新カリキュラムの進級が厳しくなっているとは思ってはいないはずだ。改めて、「薬学部というのは、そもそも理科好きのマニアたちが来る所だ」という事実を入学後に、痛感しているのかもしれない。

新カリキュラムになったことにより、5教科まで持ち越し可能となり、ギリギリで進級→上の学年で、多くの科目を落として留年する仕組みが出来てしまった。額制限があり、借金をもって上の学年に上がることができる→爆弾を抱えたまま、より厳しい荒波にもたれる→いずれ爆発(=留年)パターンである。留年はもしするなら、下の学年ほどよい。下手に上に進級すると、前年度の基礎がないまま、応用科目をやらなくてはならなくなる悪循環に陥る。危険である。その結果、当然だが留年が激増&多くの科目を抱えて留年する生徒が増えた。住宅ローンのような借金はやはり返せる時にきちんと返すのが正しい(進級と借金返済は構造が似ているので、比喩に使った)。銀行の計画通りに借金を返済する=支払い能力がある→さらに融資を受け入れることができる、と同じである。払えない人には、デフォルトや差し押さえのような強制的な措置を講じることもある。これは同一学年を繰り返し退学になる場合と似ている。

出席も特別スタッフが1人1人学生証をチェックして回るようになった。もう代筆などは使えなくなった。5回欠席するとテストを受験できない。これで結構、落単する生徒が増えている。

定期試験の過去問をオンラインで閲覧できるようになった。とはいえ、今は一年分しかない。過去問というのは、最低3年分はないと意味がない。それに昨年は全ての教科が公開されているわけではなかった。教授たちもいやなのだろう。なぜなら過去問を公にするということは、問題を作り変えなけれならないから、面倒なのである。教授たちの本業は研究であって、教育は義務である。「定期試験作成ごときに、多くの時間を使いたくない」、というのが、教授たちの本年だろう。過去問は、生徒間で、こっそりとやり取りをしている限りにおいて、教授は大きく傾向を変える必要はない。しかし公にされてしまったら、傾向を変える必要が出てくる。これは新カリキュラム学年の生徒にとって、過去問を入手するうまみが失われたことを意味している。定期試験の過去問をオンラインにして欲しいとは、父兄から出たリクエストらしいが、本当に愚かなことをリクエストしてくれたものだ。旧カリキュラム、つまり今の3年以上は、基本オンラインによっても、問題傾向が変更になることは基本的にない。本当に新カリキュラム学年(現在の1、2年)はかわいそうである。

繰り返しになるが、本試で30点を得点できていないと、再試が受けれない。本試が終わり、30点以下の科目が4科目あると、すでに4科目落単が決定したことになる。再試では絶対に全てパス、後期も限りなく落とす科目は0でいかなくてはならない。こんなことが可能なのだろうか???旧カリキュラムでは、本試で30点以下を本試でとっても普通に再試は受けることができた。だから無事に進級できた先輩たちもたくさんいたはずだ。旧カリキュラムの生徒たちは、新カリキュラムの後輩たちを見て、どう思うだろうか?「今下の学年にいなくてよかった。。。」と思うのが正直な気持ちだろう。。。

試験問題は当然記述中心。記号問題と違い、確実にどれだけ得点できているかは、本試が終わった段階で分からないことが多い。これも不安を煽る。本試でできていたつもりだったのに、結果を見たら、こんなに落ちていたのか。。。という方も多いはずである。

しかも、再試の際に、本試の復習をしようとしても、答案の返却もないため、復習が難しい。この数年は終了したら、回収されるようになっている。答えを丸暗記する生徒をなくするためである。そのため、復元問題が必要となる。本試に落ちたとしても、復習する問題も&答案の返却もないのである。当然、復元問題を持っている生徒と持っていない生徒では、今後の進級には大きな違いが出てきてしまう。

1年では、物理の教授が新しい方になった。試験が急激に難しくなった。大学受験で物理を選択していない指定校推薦入学の生徒にとっては、特に厳しいだろう。

最も過酷なものが、「薬用天然植物学」である。従来はⅠが2年後期、Ⅱが3年前期にあった。それが、1科目になり(=範囲が膨大に多くなり)、1年後期に実施されることになった!(1年かけて行われていたものが、半年でしかも1年の後期にギューギューに詰め込まれることになった。暗記が苦手な人は厳しい立場になった)。代わりに、従来1年後期に行われていた生薬学が、2年前期に行われることになった。(薬理学Ⅰ、放射の変更も厳しい。。。旧カリキュラムでは、薬理Ⅰは2年後期、放射は3年前期に行われていた。それが新カリキュラムでは、2教科とも、2年前期に詰め込まれることとなった。)

簡単に流れをまとめると以下のようになる。

今までは以下のようであった。

3年前期 薬用天然植物学Ⅱ、放射
2年後期 薬用天然植物学Ⅰ、薬理学Ⅰ
2年前期 漢方薬学
1年後期 生薬学

それが今回のカリキュラム変更で以下のようになった。

2年後期 漢方薬学
2年前期 生薬学、薬理学、放射
1年後期 薬用天然植物学

驚くべきは、新カリキュラムにおいて、1年の後期で行われている薬用天然植物学が、旧カリキュラムでは、2、3年で行われていた科目であることである。(=2,3年で行われていたものが、1年の後期の移動!)しかも繰り返しになるが、1年をかけて履修していたものが、半年履修に変わった(分量が倍化!)これだけでも、現在の1年が、旧カリキュラムにおける1年とは全く異なるものであることがお分かりだろう。

印象としては、全体的に重い教科が下の学年に降りてきていることである。意図的であるのか。。。

1年は上のカリキュラム変更がなくても、暗記科目が多い学年である。苦労するのは、生化学Ⅰ、物化Ⅰである(二つの科目とも膨大な暗記が必要)。そこに今回の変更である(通常1年かけて行われていた薬用天然植物学が半年で行われることになったわけだから、生化学、物化に暗記時間を使えなくなった!)。1年後期の暗記量が半端なく多くなり、留年数が今年は1年が30人になったのも無理はない(昨年は15人)。

もし1年で留年してしまった方がいたら、新カリキュラムは、旧カリキュラムは全く違うことに気が付かなくてはいけないであろう。「1年の前期から薬用天然植物学の暗記を準備してしないと、後期でまた留年する可能性が高い。1年の後期は暗記科目がてんこ盛りである。もしギリギリ進級したとしたら、2年前期で自動的に留年してしまう。。。」

よって、2018年度生の落単者が激増した。( )は落単者数。
1年の前期 植物学 (約50人) ※植物学は、高校生の生物分野(植物系)の復習
1年の後期 薬用天然学  (約200人!) ・物理化学Ⅰ(約50名)・生化学(約30名) 

さて、前期の本試がまもなく終わる。前期の再試期間は、8/23~8/31である。大量に落としていると、この短い期間で対策は厳しいだろう。

(追記)今後、大阪薬科大学が、定期試験の過去問をデータ公開化することになった。これは多くの生徒が過去問を集めることに熱心になり、学習時間が取れていないからであるが、やっかいな問題を含んでいる。大学側が公開するということは、もうその傾向は出ないということだからだ。名古屋市立大学では、生徒たちが、過去問のデータを作っていて、パスワードでアクセスできるようにしている。これは賢いやり方で、生徒側がやっている以上、問題傾向が変わる可能性は少ないということだ。いずれにしても、大学側による過去問データ開示はやっかいなことである。
 
(まとめ)
●1年の後期に、今まで2年、3年と1年かけて行われていた薬用天然植物学が移動していている(=2、3年で1年かけて行われていたものが、半年に凝縮。
●1年は、生化学Ⅰ、物化Ⅰがあり、ただでさえ、強烈に暗記量が必要とされる学年。
●薬用天然植物学の暗記量は倍になっているのに、期間は旧カリキュラムの半分になっているということ。
●もし1年で留年していたとしたら→「薬用天然植物学」を後期で前年度と同じように開始すると。。。=生化学Ⅰ、物化Ⅰの暗記の時間がなくなる、「もし生化学Ⅰ、物理Ⅰに集中すると=薬用天然植物学の暗記の時間がなくなる」
●旧カリキュラムのように、手つかずでも、再試に回して、追試でパスしようとすると、今年から本試で30点を得点していないと、追試が受験できない。
●生徒は上位層を目指すべき。大阪薬科で話すと、上位200位に入っていれば、ほぼ100%国試はパスできる。それ以降になると、?となる。

つまり。。。

「もし1年で留年したなら、前期から薬用天然植物学を準備していないと、また後期で時間がなくなり、留年する可能性大きい」ということになる。。「1年で留年したけど、前期は暗記科目が少ないから、後期からまた対策すればいいや」、と考えていると、もれなくまた留年の流れになる。。。

新カリキュラムは全く別物になってしまったことを理解しないといけない。

留年を繰り返して、年度数を超えると、退学。。。

2年に上がっても、試練は続く。。。分析化学、微生物が大きな障壁として立ちふさがる。ということは、1年の時の落とした科目を持って、進級すると、もれなく留年になる。。。

1年の方は知らないと思われるが、2年の、分析化学&微生物は、かなりしんどい教科である。。。

2年の分析化学は、「文章を50~60ほど覚えていないと、70点ぐらいしか取れない」というぐらい大量の暗記が必要な科目である。また微生物は今年から教授になった方が、基本英語で授業を進める(!)ため(パワーポイントなども英語)、ついていけない生徒が続出している現状がある(もしかすると、定期テストも英語で問われ、英語で答えるパターンになるかもしれない(微生物の教授は今年からなので、テストになってみないと分からない))。笑いごとではないぐらいの難化が2年で起こっていると考えるべきである。2年がこんなに難しくなっているのに、1年の科目でいくつか落単した状態で進級したら。。。

新カリキュラムでは、留年数は、2年でこのままいくと、50人を超えるのでないか、と思われる。

こう見ると、留年のリスクを抱える学年が見える。1年後期と2年前期だ。

本試で30点以上得点しないと、追試が受けれないという今回の変更も痛手である。本試で手が回らないからと、暗記科目をほぼ対策しない状態で、再試に回すと、追試が受けれなくなり、留年のパターンができてしまった。

カリキュラムの改悪のように思えるが、この流れは止まらない。

2021に新カリキュラムになるが、国試は新カリキュラムの年に、急激な難化をする傾向がある。2014には前年に約85%だった国試合格率が、60%になった。2021には、60%になるのか、50%代になるのかは分からないが、「一日でも早く進級&国試合格しておいた方がよい」のは間違いないだろう。

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